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001 基礎知識

001 基礎知識

デジタル回路は「ちょっと特殊な電気回路」と言えます。 電気回路なので最低限知っておいて欲しい法則があり、それが「オームの法則」と「キルヒホッフの法則」です。

デジタル回路(マイコン回路やシーケンサ・リレーなどを使った回路なども含みます)を学ぶ上で最初に知っておいて欲しい回路が「スイッチング回路」です。 デジタル回路はこの「スイッチング回路」で構成されていると言っても過言ではありません。


1.オームの法則


オームの法則は電流、電圧、抵抗の関係を表す重要な法則です。 これを知らずして電気回路の設計はできませんので憶えてくださいね。


    I = V / R

    I は電流を表し、単位はアンペア[A]です。
    V は電圧を表し、単位はボルト[V]です。
    R は抵抗を表し、単位はオーム[Ω]です。


ここで素朴な疑問が出るかと思います。
「電流」って何?、「電圧」って何?、抵抗って...
「電流」とは電気の流れる「量」、「川」で例えると流れる「水の量」に相当します。
「電圧」とは電気を流そうとする「圧力」、「川」で例えると流れ始めの「高さ」に相当します。
より高いところから水を流した方が勾配(傾斜)が強くなり、川を流れる水の量は多くなりますよね!?
「抵抗」とは電気の「流れにくさ」、「川」で例えると「流れ始め」から「終点」までの勾配(傾斜)に相当します。 「勾配(傾斜)」が強い(抵抗としては弱い)と川の水は沢山流れようとします。 逆に「勾配(傾斜)」が弱い(抵抗としては強い)と川の水は緩やかに流れます。


2.キルヒホッフの法則


第一の法則は、電線を複数本接続したとき、「流れ出る電流は流れ込む電流の総和に等しい」ということです。 この第一の法則は良く使うことになると思いますので憶えておきましょう。

なおキルヒホッフの第二の法則は、「閉回路において起電力の総和と電圧降下の総和は等しい」ということです。 ...が、私はこの第二の法則は回路設計時に意識して使ったことは無い!ので、あまり気にしなくても良いかもしれません。


3.スイッチング回路


「スイッチング回路」とは、下図のような回路を言います(接続されていない Q はとりあえず無視してください)。
001_sw.jpg

電源(+5V、GND)と抵抗器(R)ひとつとスイッチ(SW)ひとつを直列に接続しただけの回路です。
出力はRとSWの間から取り出します。
(+5V)はDC+5V電源のプラス側...「DC」は「直流」の意味です。 「直流」とは乾電池や車などのバッテリー、USB電源など、電圧が常に一定の電源のことです。 GNDはグランドの略でDC+5V電源のマイナス側になります。
ちょっと余談ですが、直流電源に対して交流電源というものもあります。 交流電源とは具体的にいいますと、各家庭に来ているAC100V電源、工場などのAC200V、AC400Vなどの電源のことです。 交流電源は電圧が時々刻々変化していまして直流電源のように一定ではありません。 ですがそのおかげでトランスを用いることにより電圧を上げたり下げたりすることが可能でロスの少ない送電ができていたりします。

上記の回路を構成し、SWをON/OFF(信号あり、信号なし)したとき、OUTPUTの電圧はどうなるでしょうか? まずSWがOFFのときOUTPUTは+5[V]になります。 なぜなら抵抗Rの片方は+5[V]に接続されていますが、抵抗Rには電流がほとんど流れません。 結果として抵抗Rではほとんど電圧降下は発生せず+5[V](High level)がそのまま出力されることになります。

次にSWをONにするとSWに電流(約1[mA])が流れ、抵抗Rに電圧降下(5[V])が発生します。 結果としてはGNDの0[V](Low level)が出力されることになります。

このようにスイッチを押す(信号あり)と出力がLow(0[V])になり、スイッチを離す(信号なし)と出力がHigh(+5[V])になるようなとき、 入力信号の状態と出力のHighとLowの状態が逆になることを負論理といい、 逆にスイッチを押したときHigh、スイッチを離したときLowになるような出力を正論理といいます。

なお、一般的にメカ式スイッチ(リレーなども含む)を使うようなときは電流を1[mA]程度流すように設計します。 スイッチが接触不良等を起こさないようにするため、ある程度の電流を流すように抵抗を選定します。

回路図の右下の方にQ(NPN)というパーツを描いておきました。これはNPN型トランジスタの図記号ですが、 メカ式スイッチの代わりにトランジスタに置き換えますとマイコン制御可能なスイッチング回路になります。



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