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005 オープンコレクタ

005 オープンコレクタ

ここではオープンコレクタについて学びます。 オープンコレクタとはICの出力端子に直接トランジスタのコレクタ端子が接続されているICのことです。 オープンコレクタICを使う目的は少なくとも3つあり、ひとつはLEDなどの大電流が必要なものを駆動するため、 それと電圧の異なる回路へのレベル変換、 もうひとつはワイヤード・オアです。

1.LED(大電流素子)駆動


LEDを点灯させるために必要な電流値は10[mA]くらいですが、普通のTTL ICなどではこれだけの電流を流すことはできません。 そんなときに用いるのがオープンコレクタICで74LS06などがそれに当たります。 オープンコレクタなので直接LEDを点灯させるのに十分なシンク電流を流すことができます。


2.レベル変換


マイコン回路で使用する電源は5V以下ですが、機械の制御盤などで利用されている制御電源は24Vが多いかと思います。 マイコン回路を制御盤などの回路に接続する場合、電圧レベルだけでなくノイズに対しても考慮しておく必要があります。 なので、一般的にはフォトカプラなどを使ってアイソレーションします。 フォトカプラとはLEDなどの発光素子でフォト・トランジスタを駆動し、電気的に回路を分離(アイソレーション)するために用いられるものです。

3.オープンコレクタとレベル変換の例


下の回路図は74LS06のオープンコレクタICでフォトカプラを駆動し、 任意の別回路へ出力を渡すサンプル回路図です。 このような感じでアイソレーションして別回路に渡すのが一般的です。

005_ex1.jpg

フォトカプラの出力段にトランジスタがふたつ繋がっています。 これはダーリントントランジスタと呼ばれるもので、より大電流を高速に(立ち上がりを速く)流すための構成です。 大電流を流す必要がある回路にはよく出てくると思いますので覚えておくとよいでしょう。


4.ワイヤード・オア


ワイヤード・オアとは...沢山出力があってその出力全てをORしたいときに、 各々すべてOR回路を使って実現するのはかなり大変ですが、 ワイヤードORを使えば比較的簡単にこれを実現できます。

下図はワイヤード・オアの例です。

005_ex2.jpg


上の例では3本のオープンコレクタ出力をワイヤード・オアして出力を得ています。 入力(INPUT)がLow levelのときはいずれのトランジスタも動きませんので出力はHigh levelです。 入力(INPUT)のうちいずれかひとつでもHigh levelになるとトランジスタが駆動し、出力はLow levelになります。 出力は負論理です。

いいことずくめのようなワイヤード・オアですが欠点もあります。 それはオープンコレクタ出力なので「動作が遅い」ということです。 どうしても高速動作が必要なときはORゲートICを用いましょう。

今回、回路図をNPNトランジスタで書きましたが、オープンコレクタ出力の74LS06などを使ってもOKです。

今まで特に説明しなかったのですが出力端に接続されている抵抗器(4.7KΩ)はプルアップ抵抗と一般的に呼ばれています。 プルアップ(+5Vへ押し上げる)抵抗器...という意味です。 TTL ICを用いる場合には4.7KΩくらいを使うのが多いかと思いますが、CMOS ICのときはもう少し大きめの10KΩなどを使ったりします。

プルアップ抵抗に対してプルダウン抵抗と呼ばれるものもあります。 プルダウン抵抗はGNDに引き下げる抵抗器のことです。 そのうち出てくるかもしれませんので、出てきたら解説するかもしれません。




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