はじめに
Windows11のスパンボリュームとストライプボリュームの使い方について記しておきます。
スパンボリュームもストライプボリュームも複数のボリューム(パーティション)
を繋いで大きなひとつのボリュームを構成するものです。
要は(小さな)ディスクやSSDをひとつの大きなストレージ(記憶領域)として使えるようにするものです。
ただし、スパンボリュームとストライプボリュームでは構成の仕方が異なり、
使い方を誤ると転送速度が著しく低下してしまうことがあります。
その辺について少しだけ解説します。
- ミラーボリューム
- スパンボリュームとストライプボリュームの他にミラーボリュームというものもあります。 このミラーボリュームというものは先の2つとは全く異なるもので、同じデータを2つ以上のストレージに記録しておいて、 エラーが発生したときに他のストレージに記録しておいたものを参照してデータを復旧(エラー訂正)するものです。
・・・昔のハードディスクドライブ(HDD)は信頼性が現行のものと比べるとおそらくかなり低いものだったと思います。 それでこんなことをしていたのだと思いますが(今でも医療関係とかのサーバーとかだとやっていそうですが)、 今のHDDは昔のものと比べると信頼性が高く、データが壊れたとかエラーが出たとかいう経験が(少なくとも私は)ありません。
ちょっと話が違うかもしれませんが、昔、HDDが一般的に出回るようになった頃のことです。 MS-DOSを起動していて「電源をOFFする前にBREAKキーを押すとHDDのアクセスアームが退避して安全に電源OFFできる」 というような話がありました。実際に私もやってみたことが何回かあったのですが、BREAKキーを押すと一瞬だけアクセスランプが点灯するのですが、 そのまま電源OFFするとHDDのデータ(セクタ)が一部壊れる・・・みたいなことがあったと記憶しています。 何度か試してみて、これをやるとかえってトラブルの原因になると思い、それ以降はHDDがアクセスしていない(ランプが点灯していない)ときに 電源OFFボタンを押していました。ちなみに昔のパソコン(OS)には「シャットダウン」という処理は無くて、電源OFFボタンで「ブチっ」と電源を切っていました。 今では考えられないですね(笑)。
●スパンボリューム
これは単純にそれぞれのストレージ(パーティション)を連結しただけのものです。
転送速度はそのディスク(SSD)と接続バスのスペックだけに影響を受けます(ストレージを連結するための余計な処理は入ります)。
少なくともPCIe4.0以上の高速転送可能なバスに接続されているSSDの場合には、
こっちを選択した方が不要なパフォーマンスの低下を避けられるのではないかと思います。
●ストライプボリューム
これはLinuxなどではRAID0と呼ばれる構成になっているようです。
複数のディスク(SSD)に同時にアクセスしに行くため、CPUなどに負荷が掛かります。
しかし同時にアクセスしに行くため比較的低速なディスク(HDDやSSD)や低速なバス(SATA)接続などで構成する場合には、
例えば2台のHDDでストライプボリュームを構成した場合には2倍近い転送速度を期待することができます。
記憶容量が2倍になるだけでなくて、HDDに内臓されているキャッシュメモリも2倍になったものと同等ですので
より高速転送(と言っても2倍以下または接続されているバス速度以下です)が期待できます。
今となっては低速なHDDやSATA SSDなどで大容量ボリュームを構成するには向いていると思います。
ただしこのストライプボリュームは、CPU(コントローラ)や接続しているバスに負荷が掛かりますので
それなりの転送速度が必要となります(6GbpsのSATAであれば大丈夫だと思います)。
USB SSDとかでは構成しない方が良いでしょう。
いや、そもそもUSB SSDでは構成できないかもしれませんが・・・。
ちなみにこのストライプボリュームを高速SSDと高速バス(PCIe4.0以上程度)で構成しますと、
CPUやPCIeバスに大きな負荷が掛かって(ボトルネックになって)、
かえって転送速度が低下することがあるようです。
実際にやってみたのですが、ちょっとしたコピーなどの処理であれば特に問題なく動作していました。
転送速度もおそらく「速かった」と思います。
ですが、CDやDVDなどのデータを吸い上げていたときに
エクスプローラーのマウスポインタが「くるくるマーク」に変わってしまって、
ストレスが溜まるような状態になってしまいました(はっきりとした原因は分かりません)。
使用状態などにもよるようですが、速いSSDで特にストレスを感じないようであれば
ストライプボリュームにするのは避けた方が良いのかもしれません。
●誤解が無いように・・・
誤解がないようにちょっと補足しておきます。
上で「高速バス」と記述していますが、「高速バス」自体がが直接的な速度低下の原因になるわけではなくて、
高速バスで接続されているためデータ転送(コントロールデータなども含めて)がより高速に行われ、
それによってCPUやコントローラなどの他の部分に大きな(余計な)負荷が掛かってくる・・・ということです。
「高速バス」自体は悪くありません。
逆にある程度の速度のバスで接続されていないと、そもそも高速転送なんて期待できません。
それと現行の速くて大容量で(比較的)高価なSSDで十分に間に合うのであれば、
スパンボリュームとかストライプボリュームを構成する必要はありません。
「比較的低速な」とか「比較的小容量」とかいうようなストレージを用いる(有効利用する)ときに使うのが効果的かな(?)と思います。