動画解説
003 実習

003 実習

001 基礎知識」と「002 半導体」の回路をブレッドボードにて配線し、動作確認することにしてみましょう。 必要な機材としては最低限テスターとDC+5V電源が必要になります。 できればチャタリングの確認用としてオシロスコープもあればよいです。 DC+5V電源についてはスイッチング電源(10W程度)を用いることにします。 材料や機材等を用意できないときは結果だけをご覧頂くだけでもよいと思います。 ...が、できれば実際にやってみた方が身に付くかと思います。

今回使用する機器類、パーツ類はほぼすべて秋月電子通商とAmazonの通販で購入したものです。 近くにパーツ屋さんなどがない方にとって通販は協力な味方になってくれます。 便利に使わせて頂きましょう。

実習の前に予備知識として抵抗器の抵抗値とトランジスタのリード線について解説します。


1.抵抗器について


電子回路で使用する抵抗器には沢山種類がありますが、 ブレッドボードで使用するような抵抗器はカーボン抵抗と金属皮膜抵抗になると思います。 デジタル回路の場合、抵抗の精度はあまり必要ないので値段のより安いカーボン抵抗が用いられます。 ワット数は 1/4(W) が一般的です。

抵抗値についてですが、カーボン抵抗の場合4本帯が付いていて抵抗値により色分けされています。
カラーコードはそれぞれ下表の通り、数値に対応しています。

カラーコードと抵抗値の例
 左側からカラーコードが 黄・紫・橙・金 だった場合(金または銀が必ず右側!)、
  黄    紫     橙   金
 (4×10+7) ×10  精度5%
 =47[KΩ]

カーボン抵抗カラーコード
0黒い礼服
1小林一茶
2赤いニンジン
3第三の男
4岸恵子
5緑はGo
6青虫
7紫式部
8ハイヤー
9白いクリスマス
精度±10%-
精度±5%-


2.LEDのリード線


LEDのリード線が長い方がアノード(+側)、短い方がカソード(―側)です。

003_di_asign.jpg


3.トランジスタのリード線


型番が読める向きに見たとき、左側から順にE(エミッタ)、C(コレクタ)、B(ベース)となります。

003_tr_asign.jpg


4.001 回路実習


まずは 001 のメカ式スイッチを用いた回路(下図)を構成してみましょう。

001_sw.jpg

使用するパーツは抵抗器 4.7KΩが手持ちでなかったので代わりに 5.1KΩ ×1個、ディップスイッチ ×1個、 スイッチを押したときにLEDを点灯させてDIPスイッチがONまたはOFFしているのが分るようにするためと、 5V電源がブレッドボードに供給されているかを視認するためのLEDをひとつ、 計 470Ω抵抗器 ×2個、LED ×2個、 その他ジャンパー線とブレッドボードです。 ちなみにここで使用する抵抗器 4.7KΩは10KΩでも3.3KΩでも、少しくらい違ってもまったく問題ありません。

003_1parts.jpg



使用するパーツ

一般的にLEDには10[mA]程度の電流を流して点灯させます。 この10[mA]という電流値はLEDの明るさをできるだけ明るくして、更に寿命も伸ばすための絶妙な電流値なのです。 そのため電源が5Vのときは470Ωの抵抗器を直列に接続します。


ブレッドボード上にパーツを並べて配線してください。 配線し終わったらテスターで電源ラインの+と-間がショートしていないか確認してください。 もしショートしているようでしたら配線し直してください。
※私が使っているブレッドボードが悪いだけなのかもしれませんが、少しハマったことがありましたので記述しておきます。 それは「接触不良」です。 ジャンパー線やリード線が細いタイプの抵抗器で接触不良が発生しました。 ブレッドボードで作業するのはかなり久しぶりなのですが、以前もこんなに(接触不良が)「あったかなぁ」という感じです。 なので、上手く動作しないときは「接触不良」も疑ってみてくださいね。
配線し終えた回路が「完璧!」と判断できたら電源を投入してDIPスイッチをON/OFFしてみましょう。


003_result11.jpg



電源ON(赤色LED点灯)、DIPスイッチOFF(青色LED消灯)
青色LEDはDIPスイッチの左上のあたりに付いています。見えるかな?

ちなみに左上に写っているシルバーの箱みたいなのが+5[V]のスイッチング電源です。 Amazonで随分前に購入したものです。


003_result12.jpg






電源ON(赤色LED点灯)、DIPスイッチON(青色LED点灯)
青色LEDはDIPスイッチの左上の方に付いています。点灯しているのが分かりますよね?



オシロスコープで出力端(OUTUT)の出力を見ると分かるのですが、ON/OFFを切り替えた瞬間の何十[mS]程度の間、 電圧のON/OFFを繰り返す様子を見ることができます。 この現象はチャタリングと呼ばれている現象で、メカ式スイッチをON/OFFすると程度に差こそあれ発生します。 マイコンは高速でI/Oを読み取れますのでこのチャタリングも検出してしまい、何の対策もしていないと誤動作の原因になります。 チャタリングはハード的な対策でも取り除くことは可能なのですがパーツと配線のコストが掛かってしまうため、 ソフト的に取り除くのが一般的だと思います。

003_chata.jpg


チャタリングをオシロスコープで見たときの様子です。 安物のデジタルオシロのためチャタリングを正確に捉えているかは不明(バウンドしている時間が約5[mS]というのが何とも怪しい...いや、トリガーの位置が高すぎるだけかも...)ですが、 信号ラインが安定していないのはお分かり頂けると思います。



5.002 回路実習


002 のNPNトランジスタをメカ式スイッチの代わりに用いた回路(下図)を構成してみましょう。

002_sw2.jpg

使用するパーツは100[KΩ]、4.7[KΩ]が手持ちで無かったので代わりに5.1[KΩ]の抵抗器を各1個と2SC1815の他、 DIPスイッチやジャンパー線、ブレッドボード等です。

003_2parts.jpg








使用するパーツ



入力回路として「001 回路実習」で用いたDIPスイッチ回路をそのまま利用して出力(OUTPUT)を、 そのまま今回の入力回路に接続しました。 また今回の回路の出力にまた目視で動作を確認できるようにするため緑色のLEDを付けました。 緑色のLEDは入力がHigh levelになるとコレクタ-エミッタ間に電流が流れてLow levelになるため点灯します。 「DIPスイッチ回路」は負論理だったのを憶えていらっしゃるでしょうか? 負論理であるためスイッチをONにするとLow levelが出力され、スイッチをOFFにするとHigh levelが出力されます。 結果としてDIPスイッチがOFF(青色LED消灯)のときは緑色のLEDは点灯し、 逆にDIPスイッチがOFF(青色LED点灯)のときは緑色LEDは消灯するはずです。

...というわけなので青色LEDと緑色LEDの状態が逆になれば成功です。
結果は以下の通りです。

003_result21.jpg




結果その1

DIPスイッチOFF
青色LED点灯
緑色LED消灯

OK!


003_result22.jpg




結果その2

DIPスイッチON
青色LED消灯
緑色LED点灯

OK!



...と、いうわけで上手くいきました。 目視で確認できるようにするため余計なLED(青色、緑色)を取り付けましたが、 ご自身で実習される際にはこれらのLEDを引っこ抜いたうえできちんと動作するかも確認してみてください。



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